海事補佐人という制度を聞いたことはありますでしょうか?今回は、海事補佐人とはどのような制度なのかについて説明いたします。

概要

船で事故を起こした場合、その船を操縦していた人は、処罰を受けることがあります。この処分には行政処分と刑事処分の二種類あります。

車で事故を起こしたときと同じです。事故を起こすと、免許の取消等の行政処分と、人身事故であれば業務上過失致死傷等による懲役等の刑事処分の2種類の処分が下ります。これは船舶においても同様です。

船舶の場合は

  • 刑事処分→裁判所
  • 行政処分→海難審判所

と言うところで、審理が行われます。

本来は、本人で無実の立証等ができればいいのですが、現実的ではありません。裁判では弁護士に頼むことができますが、海難審判所は、弁護士にはできず、海事補佐人のみが行うことができます。

すなわち、海事補佐人は、海難審判というわれる海難審判所での、審理の代弁者です。

海事補佐人の登録要件

海事補佐人になるためには以下の要件の何れかに該当しなければなりません。

  • 一級海技士(航海・機関・通信・電子通信のいずれか)の免許を受けた者
  • 審判官(海難審判所)または理事官(海難審判所)の職にあった者(海難審判庁廃止前の海難審判法第10条1項に規定する海難審判庁審判官もしくは海難審判庁理事官または3年以上海難審判庁副理事官の職にあった者を含む。)
  • 海難審判法施行令第2条2号ニに定める教授もしくはこれに相当する職にあった者もしくは3年以上同号ニに定める准教授もしくはこれに相当する職にあった者
  • 次に掲げる教育機関の船舶の運航または船舶用機関の運転に関する学科の教員のうち10年以上教諭もしくはこれに相当する職にあった者
    • 学校教育法第1条の高等学校または中等教育学校
    • 独立行政法人海技教育機構
    • 海上保安学校
    • 廃止前の独立行政法人海員学校法に規定する独立行政法人海員学校もしくは独立行政法人化前の国土交通省または運輸省の施設等機関であった海員学校
  • 弁護士の資格がある者

海難審判の際は海事補佐人へ

海難審判と聞くと、関係ないと思われる人もいると思います。だからこそ、海難審判の時は専門家への相談が重要となります。ただ、重要なことは弁護士は海難審判には参加できず、海事補佐人でないといけないということです。

万が一、海難審判という話が出てきたら、一度海事補佐人へご相談することをお勧めいたします。